このような海外景気の減速は、我が国の輸出下押しの要因となっている。中国、韓国、ブラジルなどの新興国の台頭も日本経済の空洞化を促進している。加えて、ドル・ユーロ不安による円高も、輸出競争力を低下させ、日本経済の成長を妨げている一因である。
果たして、日本は低迷する世界経済の中で、成長しつづけることはできるのであろうか。確かに、東日本大震災後に落ち込んだ日本経済は、回復・復興の動きに支えられて急速に立ち直りつつある。だが、依然として外需は日本経済に大きな負の影響をもたらしている。今後の日本経済の行方を探るには、「世界の中の日本」ということを意識していかなければならないのである。
そこで、本分科会では、「世界の中の日本」に焦点を当て、日本経済が持続的に発展していくことを最終目標とする。各議論の中では、その手段である種々の取り組みに注目し、それらのあるべき姿を検討する。
経済は難しいと思われがちである。だが、上で述べてきたような経済動向は、気づかぬうちに我々の生活と深く関わりあっている。もはや経済は日常生活にとって切り離せない存在なのである。そのため、本分科会では、経済に興味のある人はもちろん、今まで経済について考えたことのなかった人にもぜひ参加してほしい。世の中で起っている経済の動きに、目を向けてみる。経済について、考えてみる。そのようなきっかけとなる議論を目指す。